河井家カチューシャ
人 物
河井家 カチューシャ
・本 名 ??
・生没年 ??
・出身地 ??
来 歴
漫才の創成期に活躍した女流漫才。経歴には謎が残るがその芸名のインパクトの強さは、漫才界随一である。
元ネタは言うまでも無く、ロシア民謡で、松井須磨子が唄って一世を風靡させた『カチューシャの唄』の一番「カチューシャ可愛や 別れのつらさ」からであろう。このセンスの高さよ。
前歴等は謎に包まれているが、安来節関係者だったらしい。『柳屋』(36号)の若葉薫『萬歳繁盛記』の中で、
河合家カチューシャといふ婦人がゐる。へんにいろつぽいとこがあって、版畫の貴婦人といふかんじだ。――この女性、安来ぶし出身とはうけとれない。
という一節があるのが気にかかる。
元は平和ラッパと組んでいたらしく、『上方落語史料集成』の中にある『大阪時事新報』(1928年5月2日号)の写しに、
◇紅梅亭 吉本興行部専属万歳秘技競演会 出演者はセメンダル・小松月、玉枝・成三郎、愛子・光晴、楽春・久春、二蝶・芳春、日佐丸・弥多丸、しの武・次郎、カチユシヤ・ラツパ、芳香・芳丸、今男・アチヤコ、大正坊・捨次、ウグヰス・チヤツプリン。余興笛亀、幸治、李玉川。
それにしても、カチューシャにラッパとはなんと平和な名前であろうか。この突飛な芸名の付け方には尊敬に値する。
同年11月に『柳屋』が出た際には、現役組の一人に数えられているので、活躍していた模様であるが、『落語系図』掲載の『昭和三年三月より昭和四年一月十日迄で 花月派吉本興行部専属萬歳連名』の退会者の中に「河合家カチューシャ」とある。それ以降消息が途絶える。廃業したか、改名したか。
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